「び、美容院?」
「そうよ!変わるの!」
「…いいよ僕は…」
「なんで?そのぼさぼさ頭を切ろう!人の上に立つ人は見た目からしっかりしていかなきゃならないの」
私は、一生懸命小西くんを説得した。
「ここは行きつけの美容院だから、私が髪型の指示する!小西くんは安心して、切られて」
半ば無理やり、小西くんの手を引くと、美容院の扉を開ける。
受付のところには、運よく私がいつも贔屓にしている美容師さんがいた。
「あらぁ?ユカちゃんじゃなぁい?」
紫色のアイシャドウ、ベリーショートの髪型、口元に軽く添えられた手、オシャレなメンズファッション。
この美容師さんは、いわゆるカリスマオカマ美容師さん。
名前は通称さっちゃん。
「この人をイメチェンしてもらいたいんだけど」
「あらぁ、すんごいもさっ子くんね!…うん、さっちゃんやる気出てきたわ!もさっ子くん、そこに座って」
小西くんは、はじめてリアルオカマを見たのか、私たちから3歩後ろに引いて立っていた。
「さっ、この美人美容師さっちゃんが、魔法をかけてあ・げ・る」
私は、小西くんがイメチェンする間、待合室で雑誌を読んでいた。

