「もっ…本原っ」
このか弱い声は…。
私が振り向くとそこには、長身ボサボサ少年。
我がクラスの委員長が申し訳なさそうに立ってました。
私、お邪魔みたいだ。
「小西くん!ユカとお幸せにね!ごゆっくりぃ~」
私は、自分でも意味不明なこと呟くと、教室を足早に出て行った。
後ろからは、「バカ陽依!!」とユカの怒った声が響いていたけど、聞こえないふり、聞こえないふり。
でもちょっと、気になって、後ろのドアの影に隠れます。
教室にはもう、委員長とユカしかいなくていくら小さい声の委員長の声でも、耳をすませば、全然聞こえる!
「なっ何よ…」
「さっきは、ありがとう」
「べっ別に、あんたを助けたわけじゃないんだから…早く帰りたかっただけよ」
ツンデレですか?ユカ様?
「俺、情けないよな…こんなあがり症で…」
委員長上がり症なんだ。
だから、あんなに挙動不審に。
「だったら、もっとしっかり自分に自信もって大きな声でしゃべれるようになりなさいよ。見ててイライラする」
おっと、ユカ様それはキツイ…。
ユカは、ハッとして口を抑えた。
「ごめん…」
委員長は、手を横に振って
「謝らなくていいよ。本当のことだし。俺…本原みたいにハキハキしゃべれるようになりたいんだけどさ…」
「なれるわよ。少しずつ頑張ればいいじゃない。それに今日、『起立して!』って言おうとしたじゃない。それだけでも大きな一歩よ」
私の見間違いかなぁ…、今一瞬、委員長の顔が赤くなったような…?

