教壇の上で私たちを傍観していた担任も、絶賛私語中だった子たちも口をあんぐりと開けてユカを見る。
もちろん私も。
ユカはすごい眼力で、周囲を見渡すとシュタッと椅子から降りて、自分の席についた。
何事もなかったかのように。
「え……」
静まりかえる教室。
さっきまでのうるささが嘘だったかのよう。
椅子に座ってすました顔をしているユカは、正面を向いたまま、
「委員長、号令して」
と静かな声で言った。
「…あっ……起立」
みんなが委員長の言葉通りに席を立ち、
「礼」
頭を下げる。
そして、今日は無言でみんなぞろぞろと教室から出て行った。
私はというと、すごい勢いでユカの元へ!
「ユカぁ!?さっきのあれなに?」
けだるそうな顔で私を睨むユカ様。
そして少しうつむいて、私にしか聞こえない声で
「…だって…助けたかったんだもん…」
と、とってもかわいらしいことを言ってくださりました。
さすがユカ様!!

