「おまたせー陽依!」
それから数分経って、藤井先輩とユカが両手にハンバーガーを持ってやってきた。
「あれ…あいつは?」
藤井先輩は不思議そうに周りを見渡す。
「…なっなんか、用事思いだしたって帰りました。梶瀬君」
そう、あのあと梶瀬君は私に背を向けて
「俺、先帰るよ。あいつらには用事思い出したからって言ってくれ。ごめん」
そう言って、梶瀬君は一度も振り向かずに私の前からいなくなりました。
「なんやもーせっかくハンバーガー買ってきたのに。もったいなー俺が食うで」
藤井先輩は両手のハンバーガーをパクパクと頬張る。
「ほら、陽依。食べな」
ユカの手のひらに乗ったハンバーガーがこちらにのびる。
「そうやで、めっちゃうまい!……って陽依、目赤いけどどうした?おなか痛いんか?」
「っちがうんです…これは」
これは…梶瀬君にたいする申し訳なさの涙。
そんなこと言えるわけない。
私は、ユカからハンバーガーを受け取ると、包み紙を破って勢いよく頬張った。
喉につまりそうになりながらも一気にハンバーガーを食べる。
「藤井先輩、ハンバーガーおいしいですね」
私うまく笑えているかな?
先輩に心配かけたくない。
「そうやろ?このハンバーガーは世界に誇れるうまさや!」
「あははっ」
なんだか、先輩の明るさに救われた気がする。
私のとなりに座ったユカが藤井先輩に聞こえないように
「頑張ったね」
と言ったので、また少し涙が出そうになった。