―――ハンバーガーショップ



「痛いって…そんな強く引っ張ったら俺の一張羅伸びてまうやろ」


園内の食品を扱った店はどこも客が列を作っていた。


「って…並ばんのか!?」


ユカは黙って、ハンバーガーショップの前の縁石に座る。


「…………」


何も言わないユカ。

痺れを切らした藤井は、ユカの隣に座ってユカの顔を覗き込む。



「気持ち悪いわね。こっちみないでよ」


「じゃあ、なんで並ばない?質問に答えろ」


「突然標準語しゃべられるとキモイ」


「きっつー。俺はもともとこっち出身やの!大阪は第二の故郷や」


「へー」



今頃、梶瀬と陽依はどうしてるだろうか。

梶瀬手ぇ出してへんやろな~。


と、藤井は思っていて、やっと気がついた。



「わざと二人っきりにしたんか!?」

「そうよ。早く戻って話終わってなかったら気まずいでしょ。だから一時ここにいるの」


話?

気まずいって…どんな話してんだ?あいつら



「俺やっぱ、行く」


「やめて、陽依の頑張りを無駄にしないで」



それって、梶瀬に陽依が告白するってことか?

好きだから?

俺らがいたら邪魔。





藤井は、ネガティブな方に妄想を膨らませている。


「陽依、ちゃんと言えるかな?」



ユカは、となりでずーんと暗くなっている藤井を見て、少し笑って

「あんたにはこっちが似合ってる…」

と小さく呟くと、空を見た。