藤井先輩と私。

 

いつもユカや藤井先輩が一緒にいたから、どうしていいかわからない。

私がつっ立ってぼーっと考えていると、


「座りなよ。橋宮」

と梶瀬君が言った。



そのお言葉に甘えて私は隣に腰かける。



『私、梶瀬君とはお付き合いできません。ごめんなさい』

ユカと練習した言葉を、頭の中で何回も唱える。

口に出そうとするんだけど、梶瀬君が目の前にいることで緊張してしまって、うまく言えない。


「あっ…あのさ!」


やっと3文字言えた。


「なに?」

梶瀬君が私に向きなおす。

屈託のない柔らかい笑顔がそこにはあって、すこし罪悪感で胸がチクリとした。