桃染蝶

俺は、ほんとつまんねえ男
で余計なことをペラペラと
花夜子に話して聞かせて
しまった。

俺のせいで、兄貴は
大切な人を・・・

食事を終えて、行きつけの店
から出て来た俺を呼び止める
男の声。

「タカツキショウジだな?」

俺の肩に置かれた手、その指
には、幾つもの指輪がはめら
れていた。

どれもこれも高そうで極めつけ
は、その腕時計。

「ああ 
 高月正二は、俺だ

 でっ、お前等
 どこの組のもんだ?
 見ない顔だな

 なあ、その前に
 女はいいだろう?」