桃染蝶

真剣な、正二の表情。

「そうだね」

「カヤコ、もう気分いいなら
 これから、どっか行くか?」

「奢ってくれるのぉ?」

疑わしい瞳で、この俺を見つめ
そう問いかける花夜子は可愛く
愛しい。

「よく言うぜ、いつも
 奢ってやってるだろう?」

「いつもの
 お好み焼きじゃないよ

 もっと豪華なのがいい」

「この時間に無理じゃねえ?
 気取った飯は、また今度
 
 今日は、俺に任せとけって」

「そんなこと言って、行きつけ
 の居酒屋さんじゃないの?」
 
「いいから、行こう」