桃染蝶

「そうだ、カヤちゃん
 明日は休みなさい
 
 貴女、ここのところ
 働きすぎだわ
  
 明日は、彼とゆっくり
 すごしなさいな」

「はい、ママ

 ありがとう」

薄暗い店に、たった一人きり。

本当は、誰も迎えになんて
来ない。

寝床を共にする男ならたくさん
いるけど、傷ついた心を癒して
くれる、そんな男なんて一人も
いない。

逢いたい人には逢えない・・・

重たい荷物を持ってあげる
一夜の姿が脳裏に浮かぶ。

彼女に向けられる優しさは
ひとつ、ふたつ、みっつ
これから、どんどん増えて
行く。