桃染蝶

「ごめん

 お兄ちゃん
 
 私、気分、悪い」

花夜子は席を立ち、お店の
裏へ入ったまま、何時間
待っても、その日はもう
店に出てはこなかった。

店の外・・・

花夜子を待ち続ける、正二。

「カヤちゃん
 お店閉めるわよ

 気分、どう?」

「もう少しだけ
 いいですか?

 彼が迎えに来てくれるまで
 ・・・」

「そう、それなら安心だわ

 じゃあ、戸締り
 お願いできるかしら?」

「はい」