桃染蝶

「・・・いい、んじゃねえか
 
 アニキもするみたいだし」

「何、それ
 
 どういうこと?」

つまらない事を言ってしまった
と後悔した正二だったが、もう
遅い。

みるみる、花夜子の顔色が
変わっていく。

青白い顔色をした花夜子の
瞳から、涙の雫がぽろりと
零れ落ちた。

「ねえ、イチヤ

 結婚するの?」

「いやっ、まだ
 詳しい事はわかんねえ
 
 ただ、ガキが欲しいって話
 ・・・

 ああ、悪りぃ
 
 俺、何言ってんだ
 
 カヤコ?」