ここは、スナック。

従業員は、十数名程。

家を飛び出した花夜子を車で
拾ってくれた志帆子の母が
この店のママで彼女に誘われ
年を誤魔化して店に出てから
数年。

ママは昔、この辺りで浮名を
流していたようで客は途絶え
る事はなく、いろんな客層が
集まり、お店は繁盛している。

ボーっと何かに囚われながら
接客をしている、花夜子。

「カヤちゃん
 
 カヤちゃん?」

「あっ、はい
 シホさん
 
 ごめんなさい」

「あっちのテーブル
 いつものお客様
 お願いね」

「はい」