愛する兄を想い

お前は泣いている。

俺は、その涙に気づいていない
ふりをして話す。

「こんなに遅くまで
 仕事だったのか?」

「うん

 ねえ、お兄ちゃん

 さっきのイチヤ
 もしかして泣いてた?」
 
「さあ、な・・・」

昔から、お前は兄貴の事なら
何でもお見通し。

おまえに触れながら、それが
堪らなく羨ましいと感じる俺
がここにいる。

俺ならお前を泣かせたりしない

あの日・・・

花夜子

お前は、姿を消した。