ビルの屋上

きれいに並べられた靴の上
には遺書、手紙がひとつ。

宛名は、一夜様。

病院でその手紙を渡された
一夜は、きれいな字で
書かれた妹の文字を見て
これは、現実の事なのだと
思い知らされ涙を流す。

ここは、遺体が安置された
部屋。

落下した遺体は地面に叩きつけ
られ損傷が激しく綺麗な花夜子
の横顔だけが見えた。

その頬に、指先で触れる一夜

眠ってる、花夜子はもう二度と
目を覚まさない。

「怖がりのくせに
 バカなこと、しやがって
 ・・・」

震える声、一夜は右腕を目に
あてたまま歯を食いしばり
洩れないように泣き声を堪えた