「こんなもん持ち歩くから
 強いと錯覚して歯止めが
 きかなくなる

 危ない、危ない」

本当に危ないのは、貴方だと
誰もが視線を兄貴に向けた。

「アニ・・・」

ビリビリビリ・・・

兄貴の指は、大丈夫なのか?

そう、俺が問う前に自分の
袖口を引きちぎり、兄貴の
手に巻く一人の男がいる。

「イチさん
 どうして貴方はいつも自分
 を痛めつけるような真似
 するんですか?
 
 噛み千切られたら・・・」

「死んだら
 
 元も子もねえじゃん?」

その言葉に頷く、周りの連中。