「アイツは自分の尻拭いを他人
(ヒト)に任せたきり、後は
 何が起きようと素知らぬ顔

 生まれくる命にさえも無関心
 薄情で、自己中心的に世界は
 回り自分の利益のためならば
 何でも踏み台にする腐った男

 そんな男の下で働くなど
 真っ平ごめん

 すみません、貴方の弟さん
 のことを悪く言って・・・」

初馬は、一夜から視線を逸らし
俯いた。

「構わない

 おまえが言うように身売りし
 てまで、組を継ぎたいなどと
 考えるバカな男が、この俺の
 弟な事に代わりはない

 ただ、目の上のたん瘤が
 次から次へといなくなれば
 
 奴は、野放しになり
 
 やりたいほうだい

 それでは、アイツの為にも
 組の為にもならない」

「アニキ、それは・・・」

グラスに注いだ酒をぐいっと
一気に飲み干す、一夜。