「ショウは会いに来ないよ
　
　来るならとっくに来てる
　そうでしょう？
　
　本当は、イチヤだって
　知ってるくせに・・・」

「・・・・・・」

そう、一夜は知っていた。

正二がこの抗争に勝てたのは
ある男と裏取引を交わしたから
だと初馬から聞いた。

他県の大きな組の娘さんと正二
は、直に所帯を持つ。

行きつけの料亭で、初馬と
久しぶりに会い、彼の話を
黙って聞いている一夜。

「金銭面など、ショウにとって
　リッチな条件を相手側に
　提示され、奴はそれを飲み
　評判の悪い、雑魚の組と
　手を結んだ

　要するに、自分が勝利する
　ために、この組を売ったって
　わけです

　あんな組と手を結んで
　組の名が廃るのも、時間の
　問題・・・

　金など、うちの組には腐る程
　あるって言うのに、アイツは
　・・・」

初馬は、テーブルを強く叩いた

痛む手・・・