桃染蝶

「ああって、おまえ
 夜まで病院って事は
 ないだろう?」

「うん、そうだね・・・

 イオリの事
 宜しくお願いします」

私は深く、頭を下げた。

「かしこまるなよ
 ちょっと出かけるぐらいで」

「そうだね、アハハハハ」


そう

私は、一人きりで生きてきた。

だから

一人きりで死ぬ事だって
できるはず。

大丈夫・・・


「なあ、カヤ
 
 本当にイオリが生まれた事
 ショウに話さなくていいのか
 ・・・?」

私の左手にも、薬指に輝く
リングがある。