桃染蝶

ベビーベッドで眠りにつく、庵

ついさっき、夕食の買い物に
出かけた沙織さん。

この家には、私と一夜の
二人だけ・・・

「カヤ
 
 明日、病院行けよ」

「うん
 そうさせてもらおうかな
 
 イオリの事、サオリさんに
 お願いしてもいいよね?」

「ああ
 
 おまえ、その体で大丈夫か?
 
 そうだ、俺が仕事休んで
 病院まで連れて行ってやる」

「えっ、いいよ
 子供じゃないんだから
 
 一人で大丈夫
 
 これまでだって一人で逞しく
 生きてきたんだから」

「そうだったな・・・」

「イチヤ
 私の事よりも、これからは
 サオリさんのお手伝い
 たくさんしてあげてよ

 イオリの世話が増えたら
 今よりもっと忙しくなるん
 だからね」