桃染蝶

私はその頃、先生と話を
している。

内容は、どこの先生でも同じ。

いつもと同じ。

「本当は、このまま・・・」

「先生、入院はしません
  
 最後の日、まで、私は
 赤ちゃんの傍にいたい」

最後と決めた、その日まで
庵の傍にいてあげたい。

「高月さん、貴女はご自身の
 命がそう長くはない事は
 ご存知とのこと・・・
 
 赤ちゃんイオリ君のその後
 誰か頼る人は・・・?」

「その事でしたら大丈夫です
 兄に頼むつもりです」

「そうですか、解りました
 
 薬が切れる前には必ず
 通院してください
 
 今までのように放置するよう
 な事だけはなさらないように
 
 赤ちゃんのためにも・・・」