桃染蝶

二人の優しさに、甘えては
いけない。

一人で生きていくと
決めたのは、私。

バタン・・・

一夜と沙織さんと過ごした
この家を離れ、私は歩き出す。

一夜の家で過ごした数ヶ月は
本当に楽しい事ばかりで不幸
に思える事なんて何もなくて

この先には楽しい事ばっかり
待ってるような気がした。

痛みなど忘れて、幸せな時の
中で穏やかな日々を過ごす事
ができる。

幸福・・・

もう一つの幸せを

もう一度・・・

私の足は、ある場所へと
急ぐ。

そして、立ち止まり

深呼吸をひとつ。

もう少し歩めば、ショウと
暮らした家に辿り着く。