桃染蝶

男を睨みつける一夜の眼差しは
冷静かつ残酷で、男はこのまま
だと自分の腕が複雑に砕かれる
だろう事を知る。

それは、銃口を向けられている
事よりも危機的で、締めあげる
凄まじい握力に気を失いそうに
なる。


『冷たくないか、イチ?』

この手が、凶器に満ちる時・・

俺は、何も感じない。


男の顔から血の気がひいていく

「わかった、わかったよ
 アンタにつく、だから
 この手を放してくれ
 
 わかったから、早く

 うわー、やめてくれーー」

一夜は、圧迫し続けた男の腕を
パッと解いた。

男は、その腕を何度と摩る。

震える男の手・・・

その時、一夜に殴りかかろうと
動き出す若い衆を、正二が
思いっきり蹴りつける。