桃染蝶

「何や、それをご存知で黙って
 見過ごしてくれてるもんやと
 ばっかり思とりましたわ
 ハハッ」

方言を話す男の顔が笑わなく
なる。

「誰が、わかってておまえ等
 の事見逃す?

 アニキが黙ってる事をいい事
 に、こそこそ隠れて人のシマ
 まで荒らしにくる始末
 
 挙句の果てに最近ではバック
 に他国の人間まで従えて
 娯楽に商売ですか?

 笑わせんなよ」
 
ずっと黙って話を聞いていた
一夜が、正二の肩を叩きながら
前へと出てくる。

「組の名も聞いた事の無い
 雑魚さんだけあって極道の
 世界にも流儀があること
 存じていらっしゃらない
 ようで
 
 それでは、話にもならない
 困りましたね

 ズカズカと人様のシマ荒らし
 て、直に自分のシマに帰る?

 笑わせないで下さいよ

 結局、逃げんのか・・・」