「ああ、だから安心しろ
 
 もう泣くな、ほらっ」

一夜は、着ていた上着を沙織
の肩にかけてあげた。

「サオリ、もう泣くな
 やめやめ、今日の事は忘れろ
 
 ほらっ、下向いてんなよ
 こっち見て笑え」

「だめだよ
 笑え、ないよ・・・」

潤む瞳で沙織は一夜を見つめる

「イチヤ、ごめんね」


俺を見つめる

おまえの瞳・・・

日に日にきれいになる貴女に
俺は見惚れ、その頬にこの手
で触れる。

「きれいだ」

「何、言ってるの?
 イチヤ、おかしいの」

照れながらも、嬉しかったのか
沙織はにっこりと微笑んだ。