桃染蝶

そんな正二には消えてしまった
女の事など今は、考えてる余裕
はない。

「どっちが跡目を継いでも
 仲違いだけは避けろ

 高月組を内から潰すような
 真似だけはするな

 傾けば、その足を掬おうと
 動き出す組は、山のように
 ある」

「ああ、アニキ
 わかってるよ

 なあ、ハツマ?」

「・・・・・・・」

「ハツマ、聞いてるのか?」 

「すみません」

「俺が抜けた後の事は
 頼んだぞ」

初馬の肩を叩く、一夜の姿
を正二は見つめてる。

一夜の絶対的な信頼を
得ている初馬。