桃染蝶

「う、ん
 
 いいよ」

どうしたんだろう?

目の前のお兄ちゃんに
私の胸がドキドキしてる。

きっと、お酒のせいだよね?

「手、止めてんなよ」

「はあい」

嫌な事、その全てを忘れられる
楽しい時間は、あっという間に
過ぎる。

そしてまた、煩わしい時間に
支配されていく。

こうして、私はまた、深い闇に
囚われ自分を汚す。

週に一度、通ってくるかどうか
だった男は、今では頻繁に
この部屋に出入りする。

今宵も乱れるシーツ、男は
私の体を貪欲に、貪り食う。

ママの昔からの知り合いの
お店に、ヘルプに行った時
その場所に会澤が居た。