桃染蝶

「カヤコ
 
 ほら、肉、焦げてる
 食え食え」

「もう、お腹いっぱいだよ
  
 お兄ちゃんも飲んで
 ばっかりいないで
 ほらっ、食べてよね」

正二のお皿に、どんどん
焦げたお肉を入れていく
花夜子。

「バカ
 焦げた肉ばっかじゃん

 ほらっ、おまえも食え」

今度は、正二が花夜子の
お皿に焦げた肉を放り込む。

「にげぇ・・・

 おまえの作った、あれ
 あれと同じ味」

「あれって
 クッキーの事でしょう?」

「そう、それ

 なあ、今度食わせてよ
 焦げてないやつは絶品!
 
 旨いからさ」

正二は、にこっと微笑を
浮かべて花夜子を見つめる。