桃染蝶

「奴等はもう、負けたも同然
 だろう
 
 今じゃ、アニキから
 逃げ回ってる始末

 まともに、遣りあったりは
 しない

 それに最近のアイザワは
 愛人の若い女に
 現を抜かしてるって噂だぜ」

会澤の愛人は若くなんて
ないよ・・・

「そう・・・」

「心配すんなよ
 
 アニキは生きてる」

頷く、花夜子。

「イチヤ、元気なの?」

「ああ、最近は、より一層
 険しくなって近寄りがたい
 人になってるわ
 
 若い組員の奴等はアニキ
 にビビって、タジタジよ

 まともに話せるのは俺と
 八ツマと昔からの仲間
 ぐらいなもんさ」