それが、えらく似合う大人の
男に正二は成っていた。

「似合うだろう?」

「とっても、お似合いよ
 嫌味なぐらい」

花夜子の手をとる、正二。

細く長い指先・・・

「お前の手
 何もついてねえじゃん?
 
 今度、指輪買ってやるよ
 この後、行くか?

 行きつけの店なら今から
 連絡すれば遅くても
 開けておいてくれる」

「そんな、いいわよ

 指輪なんて要らない
 邪魔なだけだもの」

煙草を銜える正二に火をつける
花夜子。

「フー
 
 おまえの男、指輪も
 買ってくれねえのか?」