桃染蝶

ここに居た方が、その後の
出来事がいち早くわかるはず。

お兄ちゃんの無事を、一夜の
無事をすぐに確認できる。

彼女の部屋、中は狭いけれど
きれいに片付けられていた。

嗅いだ事のない知らない香り
がする。

彼女が、さっと閉めた襖。

きっと、この奥は二人が眠る
寝室なのだろう。

「引き止めたりして
 ごめんなさい

 迷惑だったでしょう?」

「いえっ」

「どうぞ」

出されたのは、紅茶。

お揃いのカップが、テーブル
に置かれていく。

「ありがとう」