桃染蝶

閉まる扉。

イチヤ・・・

貴方は、扉の前に佇み
私を見つめてる。

『ガキが欲しい』

「何、してるのよ

 アンタの大事な弟

 ついさっき、柄の悪い連中
 に連れて行かれたわよ

 アンタ、親なんでしょう?
 
 だったら、何とかして
 連れ戻してきなさいよ」

この扉の向こうに、貴方の
愛する人が眠る。

複雑な気持ち・・・

何とも言えない憤りを感じて
花夜子の言葉はきつくなる。

そんな花夜子の肩に手を置く
一夜。

温かい感触。