ここは、病院。

病室の窓の外には、夕日で
桃色に染まる空が広がる。

病床で、永遠の眠りについた
男の胸に頬を寄せ、涙を流す
女性の泣き声、鼻をすする音
が、廊下にまで洩れる。

人生の幕を閉じた男の最後を
見守り、男の事を想い、涙を
流す者達の姿。

病室から溢れ、廊下に並ぶ
強持ての男達もまた、皆
声を殺し涙を流す。

今、眠る、この男こそ
高月組二代目組長

高月正二

眠り続ける、彼の頬に触れる
綺麗な指先。

「ショウさん

 ありがとう」

ありがとう・・・