大袈裟にショックを受けた素振りを見せるアッシュに目もくれず、布団にもぐって顔をそらす真裕。
…そんなに窓の外が気になってたのか?
…いや、違うな…最近いつもこうだわな。
いや、でもなんかいつにも増して愛想がねェんじゃ…?
……いや、そうでもないような…。
…だーっくそ!
分かんねェよ!
真裕の考えてることなんか、楓くらいにしか分かんねェっつーの。
いつもいつも色んな意味でわけ分かんねェんだよなぁこいつ…。
よくまともに付き合えたもんだ、楓も。
『マヒロー体よくなってるんだって? よかったわね。直に退院できたりしてね!』
『あれ? なあ、その場合って……どこに帰んのマヒロ』
『……』
『……』
『……』
……確かになァ…。
自宅はパリだし、今住んでるのはウィーンだし、その前は日本だし…。
どこもまた遠いなおい。
…まあでも、ニューヨークのどっかにも別荘の一つ二つあるだろ、藤峰家なら。
―バーンッ
「はぁい❤呼んだかね!?」
「呼んでねェ」
「む…!? ……ああ、シュンくんか」
絶妙ともいえるがKYともいえるタイミングで飛び込んできたのはもちろん親父さんで。
一瞬顔をしかめたかと思えば、俺を見てなぜか納得していた。
「その点なら心配せずともよいよい」
「どの点っすか?」

