秘密のMelo♪y⑤*NY編*


大袈裟にショックを受けた素振りを見せるアッシュに目もくれず、布団にもぐって顔をそらす真裕。

…そんなに窓の外が気になってたのか?

…いや、違うな…最近いつもこうだわな。

いや、でもなんかいつにも増して愛想がねェんじゃ…?

……いや、そうでもないような…。


…だーっくそ!

分かんねェよ!

真裕の考えてることなんか、楓くらいにしか分かんねェっつーの。

いつもいつも色んな意味でわけ分かんねェんだよなぁこいつ…。

よくまともに付き合えたもんだ、楓も。


『マヒロー体よくなってるんだって? よかったわね。直に退院できたりしてね!』


『あれ? なあ、その場合って……どこに帰んのマヒロ』


『……』


『……』


『……』


……確かになァ…。

自宅はパリだし、今住んでるのはウィーンだし、その前は日本だし…。

どこもまた遠いなおい。

…まあでも、ニューヨークのどっかにも別荘の一つ二つあるだろ、藤峰家なら。


―バーンッ


「はぁい❤呼んだかね!?」


「呼んでねェ」


「む…!? ……ああ、シュンくんか」


絶妙ともいえるがKYともいえるタイミングで飛び込んできたのはもちろん親父さんで。

一瞬顔をしかめたかと思えば、俺を見てなぜか納得していた。


「その点なら心配せずともよいよい」


「どの点っすか?」