「あたしの…バイオリン、どこ?」
「あー……まおそれはな…」
「…そう」
「あ、いや…まだ何も言って…」
「もういい」
「……そうか」
…そっか。
バイオリンも……あたしのバイオリンも、なくなっちゃったんだ。
先生のも全部なくなっちゃった。
もう……あたし、バイオリンやめたほうがいいのかな…?
もしかしてもうするなっていうことなのかもしれない。
ことごとく楽器はなくなって。
公演のために来た先でこんなことになって。
バイオリン……するなって、ことなのかもしれないな…。
『あ…っ、じ、時間だな…俺らもう帰らないと!』
『そうね。マヒロ、早くよくなるように祈ってるわ』
『バァイ』
『ゆっくり休んでね』
「じゃあ僕らも…」
「そやね」
「じゃあね、まお…」
最初にアッシュが言いだしたかと思うと、続々と手を振ってみんなが出て行った。
…気を、遣わせてる。
ごめんねみんな…。
でも無理なの。
何もできない。
何も考えられない。
思い出すのは……かっくんのことだけ――……。

