父様の顔を見て、昨日のことが思い出される。

フラッシュバックするように、一場面一場面が頭によぎった。


『真裕……落ち着いて、聞けよ…』



「真裕…?」



『楓くんは…な』



「おい、真裕…!」



『……もう、いない…』



「…! っ…うっ…!」


「真裕!」


「えほっ…ごほ…っ! うっ…ん…」


違う…違う!

あの人があたしを置いて…いっちゃうはずないじゃない…!

だって、だって…。

どんなときだって、絶対にあたしのそばにいてくれたんだよ。

どんな些細なことでも、あたしが嫌がれば一人にはしなかった。

それなのに…!


「ぐ…っう…」


「真裕…っ」


「ハア…っん…」


気分が…悪い。

めまいがする。

いやだ…いやだよ。

かっくん……。



「真裕…!」


…遠ざかる意識の中聞こえた父様の声。

ほんの一瞬だけ、かっくんに被って見えた。