『…残念ですが』
…くそ…っ!!
なぜ!
なぜ真裕がこんなにもすべてを失わなければならない!
この子が……何をしたというんだ…。
仮眠をとっていたソファから真裕のベッドへと歩み寄り、静かに頭を撫でた。
こんなに素直で愛らしい子が、なぜこんな目に遭う?
頼むよ…真琴。
もう真裕を泣かせたりはしない。
困らせたりはしない。
だから…頼むから、楓くんを真裕に返してやってくれ…!
「…ん……か…くん……ど、こ…?」
「…! 真裕…?」
「か…っくん…」
「真裕……」
寝言…だった。
とても苦しそうな、寂しそうな声。
伝った一筋の涙。
それを聞き…それを見て、押しつぶされそうなほどに胸が痛んだ。
「……真裕…ごめんな…」
…真琴が死んだ時以来に。
真裕の手を握って涙を流した。
「ごめんな…真裕…」
守ってやれなくて、ごめんな。
俺はお前の親父なのに……今まで一度も、守ってやれたことがない。
だから真琴は、俺に背を向けて……彼を連れて行ってしまったのかもしれない…。

