―――……


「蓮二起きなさいっ!」


「…なんだよ…」


「早く行くわよ! 真緒が目覚ましたって、メイリーから電話があったわ」


最近ネイティブな英語も分かるようになってきた花梨は、メイリーとさらに仲が良くなったようだった。

おかげでうるささも倍増なわけだけど…、それを聞いちゃ黙ってられない。


「先に行ってていいよ。僕もすぐ行くから」


飛び起きて花梨に告げ、未だいびきをかいている修平に蹴りを入れながら寝間着を脱いでいく。


「分かったわ。じゃ、そのバカ頼んだわよ!」


「ああ。このバカは任せといて」


…ったくこいつは…。

遠慮なしに踏みつけているというのに起きやしない。

いい加減、片足で立って片足をベッドに上げるのは疲れた。


「起きろバカ」


スリッパで頭をはたきながら言ってみるも、寝返るだけで目を開けない。

こいつはなんでこうもバカなんだ。


「おい。寝過ぎるとバカが倍増するぞ」


「…さっきからバカバカてお前なんやねん!?」


「真緒ちゃんが目を覚ましたってよ。行くなら着替えな」


「ほんまか!? それをはよ言えやお前……ってシカトかおい? バカの連発についてはシカトか?」


飛び起きた修平に着替えの入ったバッグを投げつけ、さっさと着替えてしまった自分は先に部屋を出る。


「ちょお待ち! すぐやさかい!」


そう言いながら駆けてきた修平は、Tシャツをかぶりかけだった。