…焦るな。
早まるな。
徐々にスピードを増す心拍を抑えようと静かに深呼吸をするも、落ち着くことを知らない。
続く言葉が怖かった。
「俺さあ、楓くん一目惚れだったんだよ。もう、真裕にはこの男しかいないって思ったっていうか?」
『……は?』
「したらやっぱ超お似合いじゃん? もう結婚させちゃいたいくらいだったわけ!」
『させたじゃん……っていうか誰がそんな馴れ初め話を話せと…』
「だからもう俺どおしよおって思ってさあ!」
『なにをよっ。てかそれもうどうでもいいから、用事は!?』
明らかに期待に満ちた目で詰め寄るメイリー。
あの期待は俺達全員のもの。
それに、応えてくれるんだろか。
この人の返答を待った。
…と、途端穏やかな顔つきになって…安心したような目で。
そう。
親の顔…とでもいうんだろうか。
そんな言葉がぴったりな表情で、親父さんは言った。
「…彼は真裕を置いて逝くような、そんな男じゃない」
『…!』
『!?』
『!!』
『っ…!』
「…そんな男じゃ、なかったよ」
『カエデ……!』

