泣きじゃくる花梨をなだめることもできず、ただ僕達は。


「楓……!」


…ただ、祈ることしかできず。


「真緒ちゃんを……泣かせるなよ…」


どうにもならない悔しさと怒り。

やるせない思いを握りしめた。


「…俺もっぺん明日、ニューヨーク郊内の病院片っ端から当たってみるわ。どっかにおるかもしれん」


「ああ…」


…分かっている。

修平もきっと…分かっている。


楓が病院なんかに運ばれれば、瞬く間に真緒ちゃんのようにニュースになる。

それが一切ないということは……。



…だけど。

だけど本当に小さな小さな一縷の望み。

それを、捨てたくなかった。



「真緒……。あたしが、こんなとこに誘わなければ…こんなことにはならなかったのに…!」


「花梨、そんなことで自分を責めるな。事故は事故だ」


「……事故…」



そうだ。これは哀しく無惨な事故なんだ。

ただその代償が…あまりに大きくて。

あまりに重すぎる。


……ただ、それだけのことだ…。