目を見開いて、はらはらと涙を落としながら座り込む花梨。

修平と同時に支えながら、唇を噛みしめた。


『か……カエデに限ってそんな…!』


アッシュがなんとか絞り出した一言は、みんなの気持ちを代弁しているかのようで。

それ以降はまた、沈黙がこの場を襲う。


「…信じたくないのは私も一緒だ。だがこれは、専門家の分析の結果なのだ。私とて、二度も調べ直させた。だが……結果は同じだったよ」


…確かに、辻褄は合う。

生存者の救出がなくなってきていて。

大体の場所は分かっていたのに、そこにいなくて。

そしてその結果なら……確かに、辻褄は合う。

合ってしまう…!


だからといって、こんなことを容易に信じられるはずがない。


その日は誰も、それ以上何も言わず。

恐らくみんながみんな、一縷の望みにすべてを寄せた。




「っ…う…っく…!」


「花梨……」


ホテルに帰った僕達は、泣き続ける花梨のそばを離れなかった。

近くニューヨークを発って日本に帰る予定だったが、事故で日本行きの便はなく。

宝院の生徒全員が、しばらくここに残ることになった。


最初こそ、楓達が…藤峰夫妻が巻き込まれたと知って押し寄せていた連中だったが、憔悴しきる花梨の様子を見て徐々に来なくなった。

今では、花梨を心配する女の子が数人様子を見に来るくらいだ。


「どうしてなの? なんでこんなことになるの…? あの子が何したっていうの…!」


やり場のない怒りをぶつけたいのは僕も一緒で。

ベッドに腰掛けて、握った拳をじっと睨んだ。


「こんなのって…! ないわよ…!」