ひどく慌てている。

しかも珍しく真剣だ。

いつもあほな顔であほなことしか言わないから、どうせまたあほなことだろうとしか思っていなかったけれど。

言い切る前にあほって言って追い払ってやろうって思ってたけど。

もういっそ聞き流してしまおうって…。


…だけど。


「あほ連呼してる場合じゃないんだって! 楓くんが…!」


「……え…?」


…だけど、父様の口から飛び出した、その愛しい名前に。


「かっくん…?」


全身で反応して、父様を凝視した。










「楓くんの手がかり見つけたかも…!」









……え……。

手が、かり…?


それ…って…?


「父……様……?」


「本当はまだ言うまいと思った。可能性としては限りなくゼロに近い…むしろ、ゼロと言ってもいいほどだ。だが…」


…それって…。

生きてるかも、しれないって…こと…?




あの人が――…?