…数十分かけて、つい数日前まで入院してた病院へ逆戻り。
「いってらっしゃいませ真裕様。…なに、大丈夫です! 目を閉じて開けば次の瞬間にはもう終わってます!」
「そんなことはないと思うけどがんばる」
野木さん、それはないわ。
きっとないわ。
でも一生懸命励ましてくれてるのが分かったので笑顔で言い、寝こけている父様を置いて車を降りた。
「そのまま帰っていいわ。電話したら迎えに来て」
「は……しかし旦那様はいかがいたしましょう?」
「家に棄ててくればいいわよ」
「無理です!Σ」
まったくしょうがないな…。
「こら起きろ」
「ぎゃふっ」
…よし。起きた。
「じゃあね野木さん」
ひらひらと手を振りながら、状況の飲み込めていない父様を引きずり引きずり建物の中へ入った。
寒いんだもの。外にいたくない。
「ま、まおっ。着いたなら着いたと言わんか」
「言ったところで起きやしないくせに」
「……お前最近一段と冷たいね」
…ふん。そんなことないもん。
慣れない“受付”という作業を済ませて不満そうに言う父様。
でもこの人相手にまともに付き合おうってほうが馬鹿よ。
疲れるったらないから。

