「まおたんまおたん、ラム肉とフィレ肉どっちがいい? ……ノォォ~~~ッ!! ど、どおしたまおどおしたっ!?」
飛び込んでくるなり場違いなセリフを場違いな声色で場違いに吐く場違いなKYはもちろん…。
「ちょっとキミキミ。場違い場違いて、よくもまあそんなに連呼するモノだねぇ」
…もちろん、まおパパなわけで。
「…………おさしみ」
「なんか真逆!?Σ」
肉と魚が対にあるのかどうかは知らないけれど、確かに逆っぽい答えに全身で突っ込む彼は、ひょっとして本気で気付いてないんだろうか?
ここ最近でこの人は、ただの親バカでなくただの世間知らずの金持ちでなくただのアホでなく実はすごい人なのかもしれないと思い始めていたのだけど。
「キミほんっとーに失礼だね。すごいんだよ僕。すっげーすごいんだよ?」
いたのだけど……なんだかやっぱりそうは見えない。
能ある鷹は爪を隠すというし、本当はすごい人なのかもしれない。
でもやっぱりこのKYさは天然じゃなきゃ出てこないだろ。
「まお、私しばらくここにい…」
「明日にでも帰ってどうぞ」
「はうっ!?」
『なんか……パパの乱入、KYなんだかよかったんだか…』
『KYだよどう考えても』
『レンジってほんとーに口が悪いわねその顔で』
『それはありがとう』
『一言も褒めてないわっ!?Σ』
衝撃を受けるリジュを見ながら思った。
やっぱり…本当は計算して入ってきたのか?
おかげでこう……あの空気ぶっ壊しっていうか。
和んだとはとても言い難いけれど、まおパパの精一杯の心遣いにも思えた。

