ちょっとだけ顔もうろ覚えな秘書さんを憐れみながら、ぼーっと外を見つめた。
もう何日……こうして、同じ景色を眺めてるだろう。
―コンコン
『しっつれいしま~す』
「お?」
あ…。
メイリーだ。…あれ、一人…?
ノックに振り返ると、妙に明るい声と共にメイリーが入ってきた。
でも、その後には誰も続かない。
いつもは絶対五人で来るのに……どうしたのかな?
『あ、シュン達なら遅れてくるそうよ。…あれ、なにしてるのパパ』
『ちょおどいいところにっっ! 君梨切れる!? てか皮剥ける!?』
『えっ…は、はあまあ…そのくらいなら…』
『じゃ、頼むっ』
『へ?』
ぽかんとするメイリーに、かごから梨を一つ取って押し付ける父様。
よく理解してなさそうな表情をしながらも、果物ナイフの置いてあるテーブルへと歩み寄るメイリーに、「ごめんね」と日本語で謝った。
『ううんいいのよ。…でもパパ面白いわね』
…どこが。
あんなののどこが。
一緒に住んでみたら、面倒なだけよ。
母様がいた頃も、毎日のように母様に抱きついては踏み倒されてたの。
そんでしくしく泣きながらあたしに抱きつこうとする。
だけど母様が「あたしのまおになんてことするの!」なんて、りんりんみたいなこと言ってあたしを後ろに隠すの。
それはそれはかわいそうな扱いを受けてたわよ。

