心底心配そうに気遣ってくれる父様に返事をし、カーディガンを肩に羽織った。
特に冷えるわけじゃないけど、体を冷やすとよくないから…。
「もう昼だが、腹は空かんか」
「別に」
「食え」
「いや」
「……」
「……」
「……梨たべる?」
「…たべる」
父様だって、あたしと一緒で包丁なんて持ったこともないし、厨房に足を踏み入れたことすらない。
うちでは唯一母様が少しできるくらいだったんだよ。
それでも坂本さんやシェフが作ってくれてたけどね。
「皮のほうが分厚くなってもいい?」
「ダメ」
「……じゃあ皮ごと食べてくれる?」
「いや」
「……じゃどーしろってんだい」
知らないそんなの。
見栄張らなきゃいいんだよ…いらないっていうのに。
「…もういいから、お仕事行きなよ」
「仕事はだいじょおぶさっ。秘書に押し付けっ……任せてあるからな!」
「……」
…かわいそ秘書さん。
あの人凄く優秀なんだけど、そのぶん損してるんだよね。

