タツヤ

もうすぐで兄ちゃんがくる。2人で話すんだ。
10分ぐらい経った頃だった。
目が赤くなっている兄ちゃんが現れた。
「ごめん、遅くなっちゃったな。あれリンナちゃんは?」
「用事があるって帰ったよ。」
そこで会話が途切れた2人は無言のままだった。
なにもないような空間にいる心地だった。
先に話だしたのは兄ちゃん。
「タツヤ…変わったな。髪の毛茶色になって…」
「うん…いろいろあって…。なあ兄ちゃん、高1んときなに考えとったん…?俺なんか悪いことした…?」
一瞬、兄ちゃんが寂しそうな顔をした。
「違うよ。お前は悪くない俺が悪かったんだ。頭のいいお前と頭の悪い俺。…俺な、お前に嫉妬してたんだよ。きっと。勉強なんかそもそも好きじゃなかったし。なあタツヤ、高校生は楽か?」
「中学のときに比べたら…楽かな…。」
「俺も最初は楽だったよ。高校生になれば勉強なんかしなくてもいいって思ってたからな。彼女できてさバイト始めてさ、勉強なんかできんかったよ。それを母さんと父さんは彼女のせいにしたんだよ。だから彼女と別れろって。勉強しろって。タツヤを見習えって…。」
1度俺を睨んだ。背筋が凍った。
「…だ…だから俺、兄ちゃんの味方になったじゃん。俺…母さんの味方になんてなってなかったよ…?」
「それがうざかったんだ。」
ぴしゃりと言葉を遮られた。
「お前は俺の味方になんてなってなかった。俺を見下してたじゃないか。俺は勉強できるんやぞってその目で見下してたじゃないか。どうゆうことだよ…?味方なんてふざけんじゃねぇよ。」
わけがわからなかった。
俺は本当に兄ちゃんの味方だった。兄ちゃんを責め続ける親を憎んだ。それが違う…?俺が見下してた…?意味がわからない…。その目ってどの目だよ…
「タツヤ…お前知らないよな…。俺中学のときイジメられてたんだよ。」
は…?兄ちゃんがイジメられたた?頭がパンクしそうだ。ごちゃごちゃだ。
「だ…誰に…。」
「クラス全員」
「で…でも先生は!」
「先生も同じだ。」
もう兄ちゃんの目は怖かった。