「癒恋に触んな。」
なぜか怖い気がしない。なにをしても今なら乗り越えれる気がする。
「タツヤ?」
ゆっくり癒恋の頭から手を離す。
「お前なんか必要ねんだよ…お前のせいで…家がめちゃくちゃになったんだよ…お前さえっ…兄ちゃんさえいなければ!!俺らは幸せになれたのに!!母さんは死なずに済んだのに!!全部…全部兄ちゃんのせいだ!!」
俺の顔には不思議と涙はなかった。
外は風が吹いていた。
まるで、俺の心の中をそのままあらわしたような風景だった。
兄ちゃんは驚いていた。
俺も、自分でも驚いていた。
「ごめんな…本当に…ごめん。」
兄ちゃんの目から大粒の涙が出る。

俺は兄ちゃんを許してはいけない…はずなのに
なんでこんな苦しいの?
やっぱ家族の血ってこうゆうものなのかな。
家族ってなんでこんなイヤなもんなんだろ。

癒恋が泣き顔で怒ってくる
「なんでお兄ちゃん、春斗兄ちゃんのこと許してあげないの!?」
俺はなにも答えられなかった。