「春斗兄ちゃぁぁん…なんで出てってまったんよおぉ…むっちゃ寂しかったんやからあぁぁぁ…。」
癒恋が泣く。
「ごめんな…癒恋…」
それにつられて、俺も涙がでる。
「親父たちは元気か?」
喧嘩して出てっていったのに親たちを気にするなんて
やっぱお父さんの子供なんやな…
「お母さんは死んだよ。お父さんはまだ元気。」
声が震える。
「…は?」
兄ちゃんの目が点になる。
「お母さん死んだってどうゆうことだよ…?」
「そのままだよ。病気で…死んだ。」

そう言うと、兄ちゃんは膝からなだれ落ちた。
「嘘だろ…?俺まだ謝ってねぇのに…」
兄ちゃん…後悔してんだな。
「あの~…」
そのとき割り込んできたのはリンちゃんだった。
「まだですか?」
と、なにもないような顔をして入ってくるリンちゃんは
無神経過ぎると思った。
「この子は?」
目を赤くした兄ちゃんが言う。
「俺の彼女。皆川リンナ。」
リンちゃんが言うまえに、俺がさきにいう。
「タツヤの彼女か。よろしくね、リンナちゃん。」
無理な笑顔。リンちゃんも無理な笑顔。
俺は笑顔になんてなれなかった。
なる気分ではなかった…。