漢字は違えど、彼女の名前も那岐紗。

俺と同じ名前を自分の子供に名付けて、鷹栖は何を考えているんだと思っていた。

昨日の夜。
那岐から言われた彼女の名前の由来。

二番目に大切な人の名かーーー・・・

鷹栖にとって、一番大切だった人は那岐の母親で、俺の伯母にあたる代枝子さん。

父さんは二人の身分差を盾に反対したんだろう。

それでも、二人は抗い、すべてを捨てて、一緒になり、那岐を産んだ。

二人はそれで良かったのかもしれないけど、俺はその後、人を信じれなくなった。

「俺たちを呼び出して、何の用だ?渚」

俺は敦司、圭吾、達生の3人を早朝に生徒会室に呼び出した。

「文化祭の準備なら、順調だぞ。渚」

敦司は眼鏡を弄りながら返す。

「文化祭のコトじゃない」

「じゃなんだ?渚」

敦司はバリトンの声で詰る。