私は部屋に戻り、智樹をベビーベットに寝かせて、渚君の帰りをソファに座って待っていた。

待てど暮らせど、渚君は戻って来る気配がなかった・・・

私はリビングに戻ったが、渚君の姿はなかった。

「渚君、どこに行ったの?」

宵闇に染まる中庭に出て、渚君の姿を探す。

「こんな夜中に、外出ると悪い人に捕まりますよ!!」

「那岐お前は俺のコト、小さな子供だと思ってないか?」

中庭のベンチに腰を下ろし、星空を見つめる渚君が私に声を掛けて来た。

「渚・・・君」

私の瞳には薄っすらと涙の膜が張った。


「何で、泣くんだ?」

「だって・・・ショックで思い余って・・・」

「・・・那岐お前・・・父さんのコト知ってるのか?なんで、ここに来てまだ・・・4日目のお前が知ってて、息子の俺が知らないんだ?誰から訊いた?」

「平井さんから・・・」

「平井さん?くそっ・・・」

渚君は長い前髪を掻き上げて、悔しそうに口許を歪めた。